273415 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

ruka126053のブログ

ruka126053のブログ

第24章

第24章―ルーレットは歪んで反転し、その姉弟の関係は間違いと欺瞞を今日も抱く
              1
「明日も来るからな、お前ひとりじゃ永遠に終わらねえ」
鬼属の少年は仲間を連れてそう言った。
「勝手にしろ」
「ああ」
ゴットヴァルトはすべて捨てたのだ。アリスのために。帝国にもフォボスにもすべてささげて。間違った人生と思う。正しくないし、なにも救われないと思う。
正しさなんて誰が決めるのか、すべてを奪われた時決めたのだ。今までの自分を捨てると。
「いつか俺が王様になったら一番の手下にしてやるよ」
自分勝手か、自信家か知らないがそんなことを言う。乱暴者で喧嘩っ早くて、さみしがりやで。
「誰が」
また明日会えるとその時は思ってた。

フィズは苦々しくそう答える。そう答えるのが嫌であるかのように。
「お前の記憶を奪ったのはね、フロイデ」
「なんだ」
壁に抑え込まれ、フロイデは耳元でささやかれる。
「・・・・・・クリストファー、ブレイクエッグの元仲間よ」

けれど、少年の鬼は僕がどこかで任務の終わって、死体を焦り、材料を探して、運ぶためのものを手に入れ、いろいろして、死体を並べていると当初は宇宙人のように気味悪がり、罵倒し、叫んでいたが、そうして無視して、殴られ、そうして一週間後、他のパンドラを連れてきた。スコップやら何やらを持ってきて。ゴブリンやトロール属の少年たちは表情なく見てきた。
「・・・」
だけど、僕は相手にせず、どれが材料になるか、魔法のためのものになるかいくつかそろそろデータを取る必要がある。
「下手すぎか」
「は?」
「お前、バカすぎるし、掘るのは俺がする」
何その急な友情展開、つい見たらにらまれ、肩を震えさせているが、僕の次の行動をまっているように見えた。手袋を手渡す。
「じゃあ、そことあそこで」
「わかりやすくいえ」
「続けるので」
なんか叫んでいるが無視した。パンドラは感情がないんじゃないのか。
飽きたのか、振り返ると指定した場所を掘り、ほかのに隊が死体を拾い上げていた。
・・・・暇なんだろうか。
「ま、いいか」
僕は、姉さんのためにも完成させないといけない。

正直、期待以上だった。ヴォルフリートはラインハルトの予測より早く、剣術、格闘術、戦士としてのすべてを小柄な体に叩き込んだ。守護者の全員を倒し、まるで今までの自分を嫌悪するように。
「・・・・まさか、ありえない」
ディートリッヒやエルネストを敗北させた。

「シェーリぃ」
女騎士は死体の海にいた。
「貴方は・・・」
フォース・ナイツと白フクロウの騎士団は、惨劇の犯人が。

「・・・・エルフリーデ・・・・」
アリスやヴィクトリアはすべて燃やしつくした彼女を。

ズガぁァァァン。
「・・・・大丈夫、ブレア」
結構、上から落ちたなとドロシーは仲間とともに見る。
「ふええええ」

ブレアは俺とは反対の信念、主義だ。普通で考えれば近づくことがない、優しく親切で明るく行動派で人気者で、たいていの男なら勘違いするし女性でも嫌うやつは少ないだろう。
「無理やり変えて、そして、取り返しつかなくなったら、貴方は傷つくわ」
拙い、だがシエラも俺もこういうのは苦手だ。
「で、でも、このままはよくないし」
「ただ少し聞いただけで意見変える相手なら、私達は干渉しなくていいの」
…それは違う。シエラは親友の意味を知らない、俺もだ。それは美しく奇麗だ。
「好きなら放置していいわけないよ」
「で、でも・・・・」
臆病ではない、シエラは他人へのすきを理解し始めた。正解なんてないのだ。


「・・・・・私は美しい」
これで二時間だ。だが、魔法力学の教師は無視した。
「オーロラ、すげえ」
「頭くらくらする」
チャームの魔法だ。ロングパーマの、美しい魔術師、オーロラ、眠りに誘う微笑みの女神。出席番号32番。
授業妨害はやめてほしい。

生きている固体でそろそろ、記憶魔法の実験したいな。
「・・・・・面倒だ」
すると、フレイムがきた。ナンバーで読んでいたが、いつも通り、キ―キ―と他の奴にしないのに、駄々らしきものをこねられた。俺は数字じゃないなんか。
「お前、次は何するんだ」
何だ、その僕が芸人みたいな言い方は、まあ死体漁りだの、医者のマネ碁としていれば、ああ、はい、そう思うね。
「まあ、死んでも困らない実験体かな、後は錬金術を習得して、白魔法や」
難しい顔をしてきた、まあ頭脳タイプじゃないのは関わってわかったが。
「何人いるんだ」
「・・・何で、聞くのさ。頭おかしいって、近づかないんだろ」
「そんな、俺お前の遊びにつきあってはいけないのか、邪魔なのか」
目をうるみ始めた、怒りながら。いつ親友になった、君と。
「この前は親切に手伝い、どうも、でも、いいよ、僕一人でするから、じゃ」
立ち去ると付いてきた。
「うざい」
「・・・」
無言、やめろ。

「スパロウ卿、なぜテロリスト、革命家が消えないと思う」
「え・・・」
スヴェンは帝都を宮殿から見つめる。
「そんなの、貧しいから・・・」
「イシュタルの戦争は終わらない、臣民も気づいている、それでパンドラたちやブルー・レジ―ナのせいにしたいのだ」


「アルバート様にはいわないでくださいよ」
「そうですね、いわないでおきます」
「・・・・前から疑問だけど、いいかな」
「はい」
「・・・・ヴィンセント様は、ヴォルフリートが嫌いなのか?」
笑顔が揺れたが、まあ違うか。
「なぜ、そう思われたのです」
「少尉殿がなんかやたら、そのあたりいわないから、気になって、それとも懐柔させて、復讐か、目的のためのえさなのかな」
オルフェウスは傷ついた笑顔を向けるが別にコウモリに含むことはない。ラファエル達に罪悪感もないし仲間意識はない。
「・・・・・何」
「いえ、少し、驚いて」
「ねえ、姉さん、帝国はどういうところ」
「そうね、いいところだと聞くわ」
でも実際は。
「・・・・・ルイ」
「あんな救世主もどきにやられるなんて」
「わざとだよ」
エンヴリオ、ア―ガンスが来る。

「ゴットヴァルトが君を心配していたぞ」
「・・・・嘘よ、彼は人間、まして他人に憎悪以外抱いていないはずよ」
そこまで深刻なのか、シエラさん、好きな人の評価としてそれどうなの?
「君はどうして、ゴットヴァルトを悪い傾向で見るな、そんなに悪い人じゃないだろう」
「まあ、お前のことは嫌いだがな」
「君のほうだろ、自覚がないのは深刻だな」
「それで、彼はなんて、そのはかなげとか、寂しそうだったとか?」
「願望隠そうよ、シエラ」
「そうだな、そのまま伝えると難しいけど、知的で思慮深く孤高で、誰に対しても態度が変えない君が彼の君なんだそうだ」
あ、これ違うな、それ百パー、装飾してますね。
「オウル君、いいのか、今引き留めないと、ね」
だからサお前らさ、俺をストッパーにしようとするのやめない。
「シエラを他の男に奪われるのは男性として耐えられないだろ」
「ダヴィデの不相応な思いは当然として、・・・・信じていいのかしら」
「何だ、そのガードの固さ、好きなら信じるものなんだろ」
「で、さ、どうなの」
二人の少女、風紀委員が俺をみるが。
「まあ、ゴットヴァルトがお前に惚れたら止めるけどな、お前に俺とゴットヴァルトが遊ぶ時間奪われたくないからな」
「「「・・・・・・」」」
深刻そうに見るなよ。
「まあ、あっちの趣味じゃないのはいいけど」
「そうね」
「君の歪んだ友情とか価値観に巻き込むのはちょっと」
「あ、お前にだけは言われたくねえよ」

それはまるで呪いのようだった。
少なくとも、ダヴィデ・オウルにはそれは祝福ではなかった。誰もが孤独を嫌う。仕方ない、普通だから。
「ばっかみたい」
去っていく少女。取り残されたダンジョン。誰もが愛を高らかに崇拝する。
ならば、恐怖するものはどうすればいい。他人ならば逃げることもできるだろう。
一人は怖い。誰もが自分一人では自分を肯定できないから。人は弱いから。
「わかってんだよ」
妄想の可能性がある、sれでも確かな記憶。貴方は愛されるために、愛するために生まれてきたのよ。愛を得られないものは嘲笑される。下に見られる。
ああ、だが、それでも。
お前らは何で、愛しながら俺を見ようとしない。優しい両親。
俺をお前らの愛の完成形にするな。俺はお前らの子供でも、お前らじゃない。

暗闇の、冷え切った氷山のような部屋で、アデルとともにオルフェウスはそれと目があった。
「ひっ」
背筋が凍る感覚。顔は今青白いだろう。
指をくわえて、不似合な豪奢な赤ん坊用のベッドの上で、それは金色の大きな、目を二人の侵入者に見ていた。
体が震える、恐怖だ。
「・・・きー」
じい、とみているが鬼の子は襲う気も食べる気もない。頭から足の先までただ見ている。赤い皮膚、大きな巨大な目、少し尖った耳。

分かり合えない。それが理解に変わる。
オルフェウスを観察していた。一つ一つ動きを見て、どんな表情をみせるか。


一歳になる娘は、誘拐され、大きな嵐の中、その行方もわからなくなった。ローゼンバルツァー本家の屋敷の地下のそのまた地下にその部屋はある。
「これで我らが勝つ」
「貴方の孫が行方不明なんですよ」
「変なことを聞くな、代わりならいるだろう」
「あなたは」

聖人でも優しくなくても、ヴァイツェンはその少年を目で追う。皆、楽しんでいたが飽きていた、騙すこと、陥れること。
「駄目だ、君たちとは行けない」
やっぱり、いやな最低な奴だ。だが、見捨てることはできない。彼はひどく驚いていた。
「行こう、×××、お前は私と」

たとえばである、目の前でどうしようもない問題がある。シエラは奪われた友人を取り戻そうとしたのだろう。でも問題が浮かんだとき、もう終っていて、誰が悪い奴がいて。多分、自分たちでは手が届かない大きい問題で。
では、何でカイザーは置かれて、ゴットヴァルトは今の立場なのか。
同じ条件だろう、犯人とされるなら。聞けばいいが、それは許されるのだろうか。
「また、ゴットヴァルトのこと考えてるの」
「危ない人だな、それ」
「わかっているよ、友達だもんね」
ブレアはすごいな。
「拒まれているけどな」
確かに、あれはシエラに似ている。俺に似ている。
「じゃあ、行きなよ、生徒会にいるから」
「ああ・・・」

「貴方には苦労掛けるわね」
「ほんとだよ、何で毎回俺が鍵持っていくんだよ、ブレア」
「え、私は、ああ、もう、馬鹿」
ちなみに先生はブレアもシエラの弟子なのだが、どうも青春ラブコメ、バトルもあるよ、ケンカップルの話に染めたいらしい。
「大体、お前、友達作るのとでしとるの同じにするなよ、俺がお前と関係ほしいみたいじゃねえか、気持ち悪い」
「親友だもの」
ブレアだものだが。まあ、この女は話を聞かない。
「私も先生にダヴィデとの関係を恋愛沙汰ではない、好きな人がいるといっているんだけど、・・・・先生は病気なのかしら」
「まあ病気だな、あれほぼ洗脳だからな、恋なんて脳の疾患なのにな」
「そんなことないよ、ねえ、シエラ」
怒られた。まあさすがにいいすぎか。友達大好き、ブレアだもんな。
「ブレアさん、ダヴィデの繊細な豆腐メンタルを少しは気遣いなさい、もてないことを認めたくない、ガラス細工の少年の心を」
「ブレーキしろよ、お前は、大体俺は10代に興味ないっての」
「ええっ、じゃあ、それって、つまり先生が好きってこと?」

悪魔属とヴォルフリートとの共闘、ハイドは昨日のことが今も現在のことのようにおメテならなかった。
やはり、策略を練っているんじゃないか。
「お前の何を認めろというんだ」
「俺は・・・」
「メシアなんて、このうそつきが」
ルーティもパンドラなんかに惑わされて、大事なものを見失っている。
・・・・アルベルト、お前は優しすぎるんだ。
デヴィッドのほうがよほど物分かりがいい。メアリのほうが常識的だ。
アレッシオはアリスなんかにほだされて。

正直言えば、面倒事もその手の人も苦手なので、フレッドもシエラも側にいたくない。部員同士で肩を寄せ合い、笑いあい。
「ごめん、待たせて」
「別に」
すると部員の一人が前に出てくる。
「何だ、その態度は」
「ハイド、いいんだ、彼は」
「お前な、誰でもいい顔して、いいかげんに」
仲良くしゃべっている。あれ、僕邪魔じゃないかな。
「そんな、女を護衛にする奴なんて」
「お前は自分が恥ずかしくないのか」
「ハイドッ」
フレッドが声をあげた。
「何でお前が怒る」

「まあ、珍しい」
「ええと・・・」
誰だろうか、たまにアマ―リエが僕らを舞踏会やら集まりに連れていく。昨日は結局、オルフェウスに一日連れまわされた。乗馬や釣り、試合を見に行く、食べに行くのはいい、でもなんで孤児院に行く必要があるのか、まさか僕がロリショタ属性があると思われているのか。下町に行くこともあるが、気を使われてるんか同情か知らないが、そんな古き文化興味ないし、アイドル見に行きたいんだけど。
「小さい方々に異様に愛されるんですって?」
「夜が更けてきますね、ヘレナ様」
親戚といっていいのか、父らしい子爵はともかく自分の家族や親せきとのかかわりを禁じている。彼らは無視し、関わらない。でも隠れて、会いに来る(カイザーに)。騎士たちも同様で、まあそれはわかるがルヴァロア家当主は何なの、何で僕を見るたびアレルギー反応出すの。オスカーはカイザーが気に入っているらしく、あれかな、少年趣味とかかな。僕にも優しいが、あれはついでだろう。
オルフェウス、オスカーは家に来る。アルフレートたちは違うだろう。
「貴方小さいからすぐ見つけやすいわ」
「ほぼヘレナ様と同じ身長ですしね」
嫌みなのかな、なんか僕相手だと意外と毒が含まれるんですが、無意識的に。
「今日も大変凛々しいですね」
「ああ、ルヴァロア卿ですか」
「それに貴方は奇麗だ」
このところだが、妙にきれいだ、きれいだと男女とともに言われる。
1220. 開き直っても、諦めても、耐えられなくなる時はあるわ。
「ええと、カイザー、アレ喜ぶところなの」
確かに見た目はカイザーに似ているが、イケメンではない。
「お前、実際前と違うぞ、吸血鬼が半分入っているからか」
「・・・そういえば、女王陛下と関わりだしてから雰囲気変わったといわれたような」
まあ成長期だし、そばかすもなくなり、なんか肌が白くなったなー、太らないなと思っていたけど、そうでもないだろ。
「でも別に少し変わったくらいで、大体女の子じゃないんだし、地味だろ」
でも身長と筋肉は少しほしい。

魔女部隊は一つではなく、小隊としてチームに分かれ、魔女を殺す。だが、雷撃の魔女殺し、エレクラこそ本物の魔女でないか。
「ほんッと、お前は甘いわね、サラナ」
「隊長・・・」

「ワイバァン隊とイフリート隊を一つの部隊に編成する」
兄の言葉にアルフレートは、当初何を言われたか理解できなかった。
「総隊長も認めている」
「いきなり、何を・・・」
「そこでお前には新設するその部隊の筆頭魔法騎士として、オルフェウスを退け、皆を導いてもらいたい」

「ライトニング・ヴァリアの暗黒君主か」
玉座に座る少女は、シエルとシャ―リぃを捕まえ、自分の目の前で膝まづく人間の男を不遜な笑みで見降ろしていた。
「意外でした、あなたにこんなに早く会えるとは」

「やめなさーい」
カミラのメンバーは天魔落ちの少年少女、それとフェイクパンドラ≪マイスター≫の実験的な小隊の集まりだ。言うならば、この国の自尊人、慈愛、アクセサリーを満たすようなもの、他国と違い、上官には亞人、パンドラがつくことも多い、魔術師や剣士もいる。そんなメンバーを導く副指揮官として、少女は声を上げる。委員長のようなものだ。
「いいですか、貴方達は暴力集団でも非人道的な集団でもありません、戦闘も大事ですが、日常も大切にすること」
「え、でも・・」
「なぁ」
勿論好意で、純粋に疑問だろう。パンドラの多くが戦闘や魔術師の道に進むのが。彼らは能力を生かそうとしただけだ、確かに普通に生きることもできるが。

彼女の剣をたたき壊し、呪術をかけた。アルヴィンは驚いたように隊士を見る。
「そんなに力がほしいの、貴方達は」
アリスの胸ぐらを掴む。
「・・・・・いいかげんにしてくれないか」
それは彼の悲痛な祈りだったのだろう。
「お前は、女で、戦場に出るべきじゃない、何でなんだ」
「馬鹿にしないで、貴方に大体」
「馬鹿なのはアーディアディト、お前だよ」
拳を振り上げ、胸を叩いている。
「お前一人でどうにかできるなんて思いあがるな、自分一人のこともできない奴が何がブルー・レジ―ナなんてくだらないものを」

炎の記憶は常にアルヴィンを苦しめる。無力感、虚無感。どうしようもない現実。姉弟。勿論、アルヴィンはいたことがないし、家族を失って以来は一人で生きてきて、リリーシャがいる。正しさの象徴であるアリスとあいつの関係は仲のいい兄弟だろうか。
他人から始まり、二人に血縁はない。
「・・・・オルグ、やめろ」
「間違いは正さないと」
ヘレネは静かな目でオルグを見る。
兄弟なら分かり合えるはずなのに。

「あいつがアリスを追い詰めたんだ」
ヴリルの言葉に、ダヴィデは歯をかむ。
「手を差し伸べてこなかったくせに、犯罪者と今度は」
「それでてめえの罪が消えるかよ、少なくともあいつはお前よりは現実といつも戦っているよ」

「腐った国よ」
フリッツにブラウン・ローズだった自由市民、ワ―ウルフ種のラアサがスナイパーライフルを持ちながら言う。
「君の故郷だ、そんな言い方は」
革命運動は起き、平和な学園都市はパンドラたちに抑えられている。どこかで鉄のにおい、血のにおいが漂う。
平和と幸福を謳歌していた市民―パンドラが抵抗運動に加わる。

「待てよ、やめるって何でなんだ」
「悪いな」
「お前…、イシュタルとの戦闘で何かあったのか」
彼はいい奴だ、仲間思いで。
「前から決めていたことだ、自分を試してみたかったんだ」
「でも、お前なら帝国の上でも・・・」
「僕はアルベルトのようになれない」
荷物をまとめると、フレッドはでていく。
「誓いを破るのか」
「君との口げんかも終わりだな」
「まあ、いいだろう、中途半端な奴はいても迷惑だ」

「・・・告解を」
時臣は、女神教会に最高司祭の元に向かう。
「俺は正しい道がわからない」

ここにいるはずがない。そう、ここにいるはずがないが、金髪の軍服の少年と少女を連れて、買い物袋を持ち、リンゴを食べる、平民のような服装の雷帝の息子、最愛の女性を手に掛けた少年がのんびりとした表情で市場を歩いていた。
「いつまでついてくる気?」
「君はまだ疑惑が解けてないだろ」

パンドラをかばう臣民は後を絶たない。子弟制度ができる前、アンジェロもエルフさえも他の彼らと同じ。勇者の多くは人間の味方だ。魔物、パンドラの命を守る人間なんていなかった。戦士なんて、だれもがいやだ。生まれながらの悪、殺戮者。魔王なんていない。本来なら滅亡していた存在だ。ステータスとされ、貧しいものと同等。天魔落ちという共通の敵が現れるまで、彼らは冷酷な人間の敵でいる以外、人間の振りする以外、いないも存在だった。ドラゴンやフェニックスは逃げ、それでも今日までいるのは。
「お前は可愛いな」
民衆を守るべき権力者、司祭、独裁者、悪趣味の貴族、魔術師が搾取するふりして、彼らをかばったからにすぎない。
「お父様、本当にこれを僕に」
悪魔の儀式、実験体、だが現実はそう多くはなく、そもそも人間社会に辟易していただろう。ラミア種の女性を腕に抱き。
「ああ」
闇に住まうものたちはこうして、生き永らえた。
「ふん、負け犬同士で傷のなめ合いか」
「マリウス兄さん」
ヴィントを主側も軽視するから、騎士公穂の少年も一族も表立って馬鹿にしないが、相手にしていない。悪口や嫌がらせ、そういうのはほかの連中に認められない奴だ。
「オルフェウス兄さん」
ちょこんと金の髪の少年が近づいてくる、無意識に眉が上に上がる。綺麗な子供だ。
「・・・カイザー様」

ヒュウうう、ばさばさ。
「・・・・落ちる場所を考えなさい」
「いや僕のせいではない」
カフェテラスで落とすとか、何なんだ、黒髪ロングのお姉さんは。
パラソルのおかげで助かったけど、シエラ嬢によくにたモデルのようなカップルのお茶を邪魔してしまった。

「いちいち気にしない方がいい」
「ヴィンセント、グレイ・・・」
勿論、自分だって人間至上主義ではない。だが守るべき民、背負うべき責任はある。
「あまり追い詰めない方がいい」
「ああ、すまない」
ゴットヴァルトはまだカイザーと同じく16しか生きていない。その彼に大義だの正義だのいうのはお門違いで。
「お前は何であいつを信じれるんだ」
騎士団や軍は弱いのだ、だからこそ彼らが本来の使命に戻るべきで。
「僕達が彼を無責任だということはできないよ」
「だが、囚われたパンドラは間違いなく、討伐されて、無実の者もいるかもしれない」

「笑いすぎでしょ」
アウィンさんと目があい、絡まれ、なぜかおひるを一緒にすることになった。
「お前、マジ馬鹿、ひひ」
なるべく関わりたくないな、帰っていいかな。
「ヴィント、お前の舎弟か」
「わぁ、可愛い、肌白い」
「坊ちゃん、こいつ屑だから関わらない方がいいよ」
素行悪そうな友達だな。
「じゃ、僕家に戻るんで」
だが、人ごみから駆けてくる音が聞こえた。女性がきゃあきゃあしている。なぜか風が吹いて、太陽が差し込んでくる。
「ゴットヴァルト、やっと見つけた、先ほどの女性は・・・」
ちっ、正統派主人公が。
「何か用か」
はぁと息を乱す。ただ立ち止まっただけだ。
「誰です、なぜ彼と一緒に…失礼ですが、どのような仕事に、こんな時間から」
「関係ないだろ、たちされ」
「あ、やめた方が」
すると優等生はかっとなり、怒りをあらわにする。だが周囲の視線に気づき、冷静を取り戻す。
「ご無礼を、自分はワイバァン隊ラフォール隊所属の隊士、フレッド・エストカラスです、彼の友人をしています」
その割に学園ではなれなれしくもないしからんでこないが友達って何?まあ、隊では読書の邪魔してくるが。

「このアホにてめえみたいな貴族の優等生が友達になるわけねえだろ」
そのいい方だと、アウィンさんが知り合いみたいだが、君アルバートの一味だよな。
「あ・・・、どのような関係か知りませんが私の友人に対する中傷は控えていただきたい、彼は自分の誰よりも大事な友達です」
ナぜマリエルといい、彼らは僕にプレッシャーをかけてくるのか。
「そうだね、じゃあ、僕古本屋に行くので、お二人で親睦を」
「僕も行くよ」
ついてくんのか、いやなんですけど。
「いや僕がいくのは埃とか菌がありそうな不衛生な小さい本やだからやめた方が、君が病気になったら家が困るでしょうし」
「照れなくてもいいよ、本を選ぶなら人がいるだろう」
いや、この後一応フォボス達と会うんですが。

知らねえよ、僕主人公でもないし。
「僕のやることではないので」
「罪の意識はないのか、自分の行いが正しいと?」
なぜかひどく悲しい響きに聞こえた。
「正しいってそんなに必要なの?」
質問を質問で返す。
「・・・・は?」

「正解の申し子、エストカラス卿はどう返します」
「あれだろ、皆助けるだろう、あはは、最悪だな」
最悪な絡みだ。
「どうだろう、僕も考えてみるが人によって正義も主義も違うから」
「おー、日和見主義」
「でも欺瞞ではないはずだよ、少なくとも考える価値はある」
セアドアとゴットヴァルトが顔を寄せ合う。
「あいつ、変態だ」
「多分脳みそが正義に乗っ取られてるんだよ、可哀想に」
「聞こえているんだけど、君らにも貫き通す信念はあるだろう」
「強いものに媚びる」
「家族以外はすべてケダモノ、滅ぼす」
アガットは青ざめるが、フレッドは。
「そうだね、でももっと帝国以外にも目を向けよう、君らならできる」
「あざーす、いやあフレッド様には頭が上がりませんわ」
「右に同じく、困った時は協力しあいましょう」
全力で媚びっていた。も見て組み手で両方フレッドの手を握っている。
「ああ、今の混乱を僕らで治めよう」
「「おお、後方は任せて」」
いい笑顔だ、盾にする気満々だな。フレッドは嬉しげに涙ぐんでいた。


「一応言うけど、ダヴィデはアラビアン風衣装は合わないわね」
全生徒、今日は一日中東風の衣装だ。
「うるせ」
なぜしているのか、アリシア生徒会長が命じたからだ。ちなみに姉妹校ではアーデルハイトの気分で同じことが行われている。ただし現実でセクハラまがいされなくのは男子生徒である。
「でもさぁ、何でダンサー風何だろ」
「会長が可愛い女の子好きだからだろ」
「美少年も可と言っていたわね・・・・・、そういえば、カイザーも当然」
部長がたちあがった。後ろか前かわからない身体を衣装で身に包み、部室の外に出る。
「シエラさん、自重しよう」
「何のこと、私はただ」
「そうか、じゃあ後ろの猫耳は渡してもらおう」


「ですから、どうかゴットヴァルト、償ってください」
アルバートが驚いたようにイリスをみる。
「あなただって本当は自分がなさっていることが間違いだとわかっているのでしょう」
「あなたは間違っています、現実を受け入れてください、自分の罪を認め間違いを認め、貴方が手に掛けた人たちやその人たちの幸福を奪った過ちを認めてください」
「奇麗事じゃ、夢はかなえられない・・・、貴方は何を言っているんだ?」
「もう自分を縛る必要はないんです、貴方はもう一人じゃないんです、ですから勇気を持ってください」
「頭おかしいんじゃないですか、意味が測りかねますよ」

「・・・・・・・・・・・何だ、その顔は」
「俺は、そんな」
「彼がそうすることくらい、わかっていたでしょう」

今この時まで、ヴォルフリートは彼が無敵だとパンドラだと思っていた。背中まで貫かれた刃からは新鮮な血がおびただしく流れ。

「彼は生き方を変えない、願いを捨てない」
アリスを抱きしめた状態で、ゴットヴァルトは。目をそむけるなんてできなかった。


ハルトヴィヒが、騎士団を去っていくフレッドに声をかける。
「後悔しないのか」
大きな戦争だった、だがそれだけでくじけるのか。自分のライバル、好敵手。
「・・・・悪いね、君との賭けに付き合えきれなくて」
「あきらめるのは早いんじゃないか、お前なら上にすぐ・・・」
「ごめん」
「あいつらに何か言ってやれよ、こんな終わり方じゃ、お前後悔する」
「終わったんだ、もう、ここでのフレッド・フォン・エストカラスは死んだ」
カッカッと靴を立て、去っていく。
・・・・オルフェウス・・・ッ。

扉が開かれる。場所は北の大女帝の宮殿。
「来たか」
「あれが・・・」
金属的な音が鳴り響く。白鳥が翼を広げたような紋章入りのマント。ピンク色の巻き毛のうさぎを思わせる少女のパンドラを連れて、軽装の鎧を身にまとうが背は多くのブレイヴに比べればまだ頼りない。
「名誉騎士、アリスリーゼ、ただいま任務を終え、到着しました」
控えるはディートリッヒ。
「前へ」
「はっ、陛下」


© Rakuten Group, Inc.